部下が帰宅しているにもかかわらず携帯電話にかけて仕事の対応を求めた。
休日に遊びに出てかけていると、上司から仕事に関するメールが届き、遊びどころではなくなった。
あなたの会社では上記のようなことが日常的に行われていませんか。
近年、各国で「つながらない権利」という新しい権利が注目されています。
「つながらない権利」とは、労働者が勤務時間外において、業務に関連する連絡や業務への対応を拒否することができる権利です。
携帯電話やSNSの普及により、いつでも、どこにいても連絡をとることが可能となったため、労働者の休日や休憩時間を尊重する観点から提唱され始めました。完全ログアウト権と呼ばれることもあります。
実際に「つながらない権利」が法制化される国も出ています。例えば、フランスでは平成29年の法改正により、50人以上の労働者を雇用する企業を対象に、労働者の「つながらない権利」を確認し、実現するための方法を労使で協議して協約を締結することで、休日や退勤後の業務対応を明確化することが求められています。
日本でも「つながらない権利」の法制化が議論されています。
帰宅後や休日に上司から連絡し業務対応を強いると、時間外労働として残業代が発生する可能性がありますし、内容によってはパワーハラスメントと評価される可能性もあります。
法制化されない場合でも、労働者の働きやすい環境の実現のため、「つながらない権利」を意識することは大事です。労働環境を見直すことは、労働者の意欲向上に繋がり会社の発展にも有用です。
今から「つながらない権利」を意識し、その対応を始めることで、労働環境の見直しを図ることはいかがでしょうか。
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執筆・監修
弁護士 田中亮一
平成9年 九州大学法学部法律学科卒業
平成13年 司法試験合格
平成15年 弁護士登録
福岡県弁護士会所属